
今回は、FXにおけるチキン利食いの克服方法について解説していきます。
チキン利食いとは、わずかな利益で決済していまい、トータルで利益を上げられないことを言います。
この解決策としては、プロスペクト理論という人間心理を理解した上で、
自分のトレードルールへの信頼を過去検証などで高めてあげることが一番です。
その上で、ちょっとした工夫をしていくことで、多くのチキン利食いは克服することができると思います。
目次
FXにおけるチキン利食いの原因

FXの世界では最初に損切りの壁があります。
しかしトレーダーとして成長していく過程で、おそらく何度か痛い目を見ると、損切りは割りとすぐに受け入れることができるようになります。
そして、損切りが正しくできるようになると、次は利益確定に悩むようになります。
実は損切りよりも、利益確定のほうが難しいんですよね。
損切りは、直近高値や安値などエントリーの根拠が崩れた場所、というように割りと明確なんですが、
利益確定についてはこれといった正解がないのが一つの原因だと思います。
それに加えて、利益確定は、経験や精神面、つまりメンタル面が大きく左右します。
含み益は我慢することで損失に変わってしまうかもしれないから、怖くて利益確定してしまい、
含み損は逆に我慢することで利益になるかもしれないからいくらでも耐えられる。
チキン利食いのは、この「損をしたくない」という人間の本能に原因があります。
この損失に対する認識と利益に対する認識の違いを説明したものが、プロスペクト理論です。
例えば、マイナス1万円とプラス1万円。
価格の規模としてはどちらも同じ1万円ですが、私たち人間はマイナスの場合とプラスの場合で1万円の捉え方が変わります。
ある意味本能とも言えるこの人間心理に従ってトレードすると、結果として、損切りは遅れて、利益確定は早まるという
「損大利小」というトレードになってしまうのです。
そして、やがてはトレードルールを無視してコツコツドカンという最悪の結果が待っているわけです。
プロスペクト理論についは詳しくこちらを参考にしてください。
チキン利食いがもたらす結果

そもそも、チキン利食いと聞いて思い浮かぶことは、トレードするにあたりネガティブな要素ばかりだと思います。
改めてチキン利食いとは簡単にいうと、
自分が予想する利益確定ラインまで待てずに、
自分のポジションが含み益になった時に、わずかな利益で決済をしてしまうことです。
もちろんチキン利食いにもメリットがあります。
・リスクをなるべく早く小さくできる
・一旦、利が乗ったトレードでロスカットにならないで済む
・チキン利食いをしたおかげでその後の逆行に巻き込まれずに済む
などなど
チキン利食いはその時々の単独のポジションで見れば、
薄利ではあるもののプラスで確定できて、マイナスに逆行することも回避できるので有効な選択かのようにも思えます。
しかし、トレードは、1つ1つ勝っていても、月単位で収支がプラスになっていなければ意味がありません。
チキン利食いをして、1ヶ月、3ヶ月、半年、1年と長期で振り返ったときに残るのは損失だけです。
初心者や、チキン利食いをやめられず繰り返してしまう人は、
チキン利食いを繰り返すことで、トータルで負けてしまうということを知らない、
または頭ではわかっているけど腑に落とせていないために繰り返してしまうのだと思います。
まずは、チキン利食いをするたびに成功するトレーダーから遠ざかっているということを自覚することが大切です。
FXにおけるチキン利食いの根本的な克服方法

先ほど説明したチキン利食いの原因であるプロスペクト理論を知っているのと知らないのでは、チキン利食いの改善方法も変わってきます。
そもそも人間が自然に感じる心理状態を、無理やりコントロールすることは難しいです。
ではどうするか?
それは、自分のトレードルールを信用するしかありません。
資金管理や利確、損切りのルールをしっかりと設けたルールに従うことで、心理状態がトレードに影響することを防ぐことができます。
FXに100%の勝率はありません。
それはどんなに優秀なロジックを使用していても負けは必ずあります。
だからこそ、自分のトレードルールを信じることが大切です。
しっかりと作られたトレードルールであれば、
連続した負けが続いたとしても確率論の見方で捉えることができ、トータルで勝てばよいという正しい姿勢でFXに取り組めるようになります。
そして、自分のトレードルールへの信頼性を高めるためには、
過去相場に当てはめて、検証を続けることが有効です。
そうすると、トータルでしっかりと利益を残すことが理解できます。
利益を残すことを実感できていれば、感情を排除して的確に損切りも利確もできるようになるはずです。
チキン利食いの具体的な解決策

過去検証を通して自分のトレードルールを信じるということが、チキン利食いの根本的な克服方法になりますが、
その上でちょっとした具体的な工夫の仕方も紹介します。
①大きな時間軸のチャートを見る
自分がトレードしている時間軸よりも大きな時間軸のチャートを見てみてください。
例えば、5分足でトレードしているなら30分足、15分足でトレードしている場合は1時間足など、
大きな時間軸を確認して目標を決めます。
それは、長い時間軸のローソク足のほうが、短い時間軸のローソク足よりも信頼できるからです。
理由は単純に、一本のローソク足を作るためにかかった時間と情報量の差です。
5分足のローソク足も30分足のローソク足も、ローソク足にしてみれば同じ1本ですが、
5分足でどんな動きを見せようと、ほんの5分の間に起きた出来事に過ぎません。
5分と30分を比較すると、30分足には5分足の6倍の情報が詰まっています。
そのため、大きな時間軸のほうが信頼できるのは明らかです。
大きい時間軸でみると、まだまだ利益は伸びそうだなということに気づくこともできますし、
チキン利食いする前に、一旦大きい時間軸を見ることで、
チキン利食いしたい衝動を落ち着かせることもできるかもしれません。
②分割決済を利用する
分割決済とは、1つのエントリーポジションを1回で決済せずに、何回かに分けて決済する事を言います。
例えば、
1.まずは普段通りにエントリー(3万通貨と仮定)
2.エントリー後に利益が出る方向へレートが動いたら「想定利益の30%」になったら1万通貨を利益確定
3.その後もレートが動いたら「想定利益の60%」としてさらに1万通貨を利益確定
4.その後は、予め想定していたポイントまで利益を伸ばす
このように決済を行うことによって、利益を確保しつつ利益を伸ばす練習にもなります。
分割決済の利点として、分割のポジション管理を行うことで、
大きく負ける可能性は小さくしたまま、大きく勝つ可能性を高めることができます。
また、分割してポジションを利益確定することによって、
早く利益確定したいという衝動を少し満たしつつ、ポジションをホールドすることができます。
③トレール注文を活用
トレーリングストップ注文(Trailing Stop)とは、
そのときの価格の変動に合わせてリアルタイムで逆指値注文(ストップロス)を自動的に変更する注文方法のことです。
トレールとは「追いかける」という意味で、
利益を伸ばしたいけれど、万が一の時はきっちりと利益を確保したいという場合に使える注文方法です。
トレール注文を活用すれば、相場が順行すればするほど利益が伸ばせます。
また、逆行した場合にトレール注文の逆指値による決済が執行されます。
注文を出しておけば自動で執行されますので、エントリー後は相場を監視することなく任せておけるわけです。
監視していると相場の上下に翻弄されてチキン利食いしたくなりますが、
トレール注文を出したあとは相場から離れることができるため、チキン利食いを防止してくれます。
つまり、利益を伸ばすだけ伸ばすことも、損失を最小限に抑え、なおかつ感情を挟まず機械的になることもできる注文方法といえます。
ただ、トレード注文は、相場の動きに合わせてどのくらいの幅でトレールさせるかの設定に頭を悩ますこともあります。
そのような場合は、手動でストップを動かしていくことで、トレール注文と同じような働きをさせることもできます。
まとめ:FXのチキン利食いは克服可能
・利小損大にならないように、プロスペクト理論を理解する
・過去検証を繰り返し、トレードルールへの信頼を高める
・小さな工夫も組み合わせる
FXトレードをするにあたって、人間が抱える心理状態を理解すること。
そしてトレードルールを信じることが、チキン利食いの改善に繋がります。
私もずっとチキン利食いに悩まされてきましたが、過去検証やちょっとした工夫の積み重ねにより、チキン利食いをすることはなくなりました。
利益を残せるようになったのもチキン利食いをしなくなってからですね。
今回の話が、何か参考になれば幸いです。
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この本は、プロスペクト理論を提唱したノーベル経済学者が書いており、トレードだけでなく、日常生活にも普通に役立つ知識が詰め込まれています。
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少し内容を難しく感じるかもしれませんが、トレーダーとして相場に対する心構えが身につく1冊です。
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それでは今回は以上です。
ありがとうございました。