マインドセット 基礎知識

プロスペクト理論を克服してFXで利益を上げる方法

2019年9月5日

今回は、プロスペクト理論について解説していきます。

プロスペクト理論を理解することで、合理的な判断やリスク管理ができるようになります。

目次

プロスペクト理論とは?

プロスペクト理論とは、心理学者のダニエル・カーネマンとエイベル・トベルスキーの二人によって提唱されました。

これは行動経済学の一種で、

確率が生じる選択肢の間で意思決定をする際に、アノマリー(根拠のない事由)を克服するための理論として生まれたものになります。

簡単に言うと、人間は自分に不利な選択をしてしまう生き物なので、それを回避するようにしましょうという話です。

ここで質問です。

質問1: あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されたものとする。

選択肢A:100万円が無条件で手に入る。

選択肢B:コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。

質問2: 200万円の負債があるという前提で、以下の二つの選択肢が提示されたものとする。

選択肢A:負債を無条件で100万円免除。

選択肢B:コインを投げ、表が出たら負債を200万円免除、裏が出た場合は負債額はそのまま。

あなたは2つの質問でどちらの選択肢を選んだでしょうか?

質問1では、期待値を見ると選択肢Aも選択肢Bも100万円ですが、

確実に100万円を受け取れる選択肢Aを選んだ方が多いのではないでしょうか。

どちらの期待値も同じでも、確実に受け取りたい気持ちになりませんでしたか?

質問2ではどうでしょうか。

無条件で負債が100万円免除されても、もう100万円残るのであれば、

全額免除の可能性に掛けたい気持ちが強く働きませんでしたか?

しかし、どちらも期待値は100万円です。

これは実際に行われた実験に基づいて作成した質問です。

質問1ではAを、質問2ではBを選択した人がほとんどであったという実験結果でした。

この実験で

利益を前にすれば、確実に取れる利益を取る”、

リスクを前にすれば、そのすべてを回避しようとする

といった人間の本質的な部分が判明しました。

確率を伴う選択が行われた時、人間が選択をする本質的部分に迫った理論がプロスペクト理論になります。

感応度逓減性(かんのうどていげんせい)

どうして人間は不利な考えに至ってしまうのでしょうか。

その理由として、「感応度逓減性(かんのうどていげんせい)」というものが挙げられます。

感応度逓減性とは、利益や損失が大きくなるにつれ、満足度や不満足度が徐々に薄れていくといった人間の感受性についての性質を示したものです。

上記図が感応度逓減性を示したグラフになりますので、先程の質問を交えながら解説していきたいと思います。

まず図の中心が参照点といって、

人間の感情にまだ何も変化が起きていない状態です。

次に縦軸は感情の深刻度を表し、上昇するほど「嬉しい感情」が強くなります。逆に下降するほど、「悲しい感情」が強くなってしまいます。

横軸は実際の価値を表したものです。

今回の質問では、右に進むほど金額増え、左に進むほど損失が大きくなるという意味になります。

価値における感情

グラフを理解した上で、図について詳しく見ていきましょう。

参照点から離れるにつれ、線の動きが緩やかになっていることがわかると思います。

利益や損失が拡大している動きに対し、感情の動きにそれほどの起伏がみられません。

この部分が、利益や損失が大きくなるにつれ、満足度や不満足度が徐々に薄れていくといった人の感情の動きを示します。

損大利小の考え方

続いて、参照点付近に注目してみましょう。

利益がでた瞬間、損失が発生した瞬間は、参照点から離れた地点に比べると、動きが急変していることがわかると思います。

これは、お金が動いた初動が、最も人の感情が強く働いてしまうということです。

また、縦のラインについても注目してみてください。

図で表した箇所は100万円を獲得した時と失った時を表しているのですが、

感情の深刻度の損失方向が、四角一つ分下に多く動いています。

ここでわかることは、同じ金額でも損失を出したときの方の感情が大きく動くということです。

この大小関係は「損大利小」と呼ばれています。

同じ金額であるのに、感覚の捉え方が利益方向と損失方向では変わってしまうのです。

これをFXで考えてみましょう。

10万円の利益を狙ってトレードを行っているとします。

勝てるトレーダーはきちんと損切りを行い、ここでは10万円で損切りするとします。

しかし負けてしまうトレーダーは、

ここで損切りをすることができません。

同じ10万円の動きでも+10万円の利益であれば決済できるのに、

-10万円の損失になると決済できない。

この損失がどこかで好転するであろうと期待をしてしまうのです。

このように同じ10万円でも利益と損失で考え方が全く変わってしまいます。

こういった考えのせいで、合理性に欠けるトレーダーが負けてしまっているのが現実です。

本能がままにトレードしてしまっては、利益を追求するトレードのはずなのに、負けを取り返すためのトレードになりかねません。

これを避けるために、プロスペクト理論を理解することが大切といえます。

合理的で理想的なトレードをするためには、

感情的にならず、物の価値そのもので捉えることが重要です

プロスペクト理論を理解してFXを期待値で考える

プロスペクト理論の考え方は以上となります。

では、行動経済学がなぜFXで重要視されているのでしょうか。

それは、理論を理解していないということは、物事を期待値で考えることができていないということだからです。

期待値で考えることができない=合理性に欠けていると考えることもできます。

FXにおけるプロスペクト理論の克服方法

プロスペクト理論を理解しても、人間の本質的な部分を克服することはできるのでしょうか。

これを精神論で克服することは不可能と言ってもいいかもしれません。

しかし理想的なトレードをするために努力することは可能で、実際にFXで生計を立てている人も大勢います。

では何をすればいいのか、それを紹介していきます。

FXから一度離れる

まずは落ち着きましょう。

FXのことから離れ、趣味など好きなことをして一度頭をリフレッシュさせてみてください。

頭がリフレッシュしたことで、また一から物事に取り組むことができます。

初めだけの工程とは思わず、何かあったら気分転換してみることは大事なことだと考えましょう。

相場から離れて、コンディションを整えることもトレーダーの仕事の一つだと思います。

ロジックを1から学習、過去検証を行う

FXは決してギャンブルではありません。

相場に勝つために、様々な人の相場の価値観、ロジックやツールが存在しています。

それらを勉強し、自分の手で利益を追求していきます。

今日の情報社会、その乱雑とした情報の中から正しい情報だけ選択することはとても困難です。

ではどのように判断をしていけばいいのでしょうか。

まずは疑ってみましょう。

そのロジックは元より正しい情報ではないと第一に考えてください。

例え信頼ある友人からの情報でも、そのように考えてください。

「じゃあ自分で探すしか無いのか?」

そういうわけではありません。

あなたが手に入れた情報が有益であるかを、過去相場で検証してみましょう

過去相場は人間が作り上げた相場であり、人の意思が含まれています。

つまり同じ相場は無いけれど、似た相場は今後形成されていくということです。

過去相場で利益を出せるかを、自分の手で確かめ扱えるようになる練習をすることで、

ロジックを理解し自分の武器として扱っていけます

ルールを明確化する

ここが最も大切な部分です。

ルールなくして、プロスペクト理論を打破することは不可能です。

過去検証で利益が出せることがわかったら、取引ルールを定めます。

まず考えることは予算です。

お金がなかったら投資はできません。

きちんと自分に見合った金額で取引ができるのかを把握しましょう。

FXはギャンブルではありません。

FXはあなたを破滅に追い込むようなものではなく、資産運用の一つです。

無理のない取引、それが第一条件です。

予算決めが完了したら、次は決済ルールを決めます。

あなたが他人からロジックを学んだのであれば、決済ルールと損切りルールがあるはずです。

そのルールに沿って、決済と損切りのラインを決めることは有効な手段です。

もしあなたがたくさんのロジックを知っていて、裁量判断でトレードを行う場合が一番危険です。

様々なロジックを使用すれば、それだけ決済方法や損切り方法も多くなり、情報が乱雑してしまいます

その場合は、もう一度決済と損切りラインを見直し、紙などに記載したうえで決め事として取引を行いましょう。

実践する、収支をつける

ルールを明確化させることで、人間的な部分を取り入れない機械的なトレードができるはずです。

かつ、過去検証を行っているので、利益が出せることはわかっています。

実践で大切なことは、負けを受け入れること

その場その場で、負けたことを悔やむのではなく、必ず長期的な目線で、取引を捉えてください

そのために、勝ち負けの収支をつけてみましょう。

一度で負けたことより、一ヶ月間で勝つこと、一年間で勝つことが大切です

もし一度で決着がつくようなトレードを行っているならば、もう一度最初から見直した方が良いかもしれません。

また、収支をつけることでどんな時に負けたのか、どんな時に勝てたのかという、取引の復習ができます。

復習することで、取引精度はより確実性の高いもの、また取引方法を見直すキッカケになります。

まとめ:プロスペクト理論を理解してFXを攻略する

今回はプロスペクト理論を打破するための方法を解説していきました。

一例として打破する方法を紹介しましたが、人それぞれ様々な方法があると思います。

自分だけがこのような考えをしているわけではなく、人間の本質的な部分であると理解することが大切です。

さらにプロスペクト理論について知りたい方はこちらの本がオススメです。

プロスペクト理論を提唱したダニエル・カーネマンの著書です。

人間の意思決定のプロセスについて詳しく学ぶことができ、

今回紹介した解決策以外にもヒントが見つかると思います。

それでは今回は以上です。

ありがとうございました。

  • この記事を書いた人

hiro

2008年から株式投資、2016年からFX。ゆったりトレードしながら、合間に筋トレや読書を楽しむ生活です。株は年利10%前後、FXは毎月200pipsほどの利益。エリオット波動と通貨の強弱を学習して勝てるようになりました。

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