
今回は、2015年のスイスフランショックを振り返り、トレーダーとしてあり方を考えてみたいと思います。
このような〇〇ショックは何年かに1度起こっており、このようなことを知って理解しておくこと自体が経験になります。
また、これを機にトレーダーとしてのリスクの取り方についても一緒に考えてもらえたらと思います。
目次
スイスフランショックとは?

スイスフランショックは、2015年1月15日に発生した、FX業界でもトップクラスの歴史的事件です。
何が起こったのかというと、ユーロ/スイスフランという通貨ペアが過去、類を見ないほど大暴落しました。
なぜこのようなことが起こったのでしょうか。
事の発端は、スイス銀行のある発表でした。
元々、スイス銀行は自国通貨であるスイスフランの上昇を抑えるために、
「対ユーロで1.2を下回る下落があっても永続的に介入を行う」
と宣言していました。
ここで言う介入とは、自国通貨の為替相場を安定させるために国や地域の通貨当局が、外国為替市場で通貨を売買すること言います。
信用度の高いスイス銀行が介入し続けてくれることで、些細なことでは動じない、安心して取引できる通貨だと考えられたことから、スイスフランはリスク回避通貨とされていました。
リスク回避通貨とは、戦争や災害といった危機が訪れたときにも価値が変わりにくいとされ、お金を守るために買われる通貨で、絶対的に信頼のある通貨のことです。
それほどの高い信頼がスイスフランにあった中で、2015年1月15日に永続的介入の宣言が突然、撤廃されました。
このスイス銀行の永続的介入の中止の発表により、今までスイス銀行の介入があることで得られていた安心感が一気に失われました。
多くのトレーダーたちはデフレを懸念し、ユーロ売り、スイスフラン買いを一斉に行いました。
その結果、チャートからもわかるように大暴落しました。
その暴落幅は20分で3800pipsにもなりました。
スイスフランショックは予測できた
そもそもなぜスイス銀行が為替介入を行う必要があったのでしょうか。
私の理解では、スイスが永世中立国であったということが関係していると考えています。
永世中立国であったがために、世界中からスイスの銀行に口座を作ろうとする動きにより、フランが買われやすい状況だったのではないでしょうか。
ただでさえそのような状況で、当時で言えばギリシャ危機のような有事が起これば、なおさらフランは買われますよね。
つまり、フラン買いは一過性の相場の動きではなく、スイスという国の性質に由来する動きだったと言えると考えます。
ここで、少し一緒に考えてみてもらいたいのですが、このような動きに対して一国の中央銀行がいつまでも介入し続けるなんてことが果たして可能だったのでしょうか。
しかも相手はEUというある種巨大な国家で流通しているユーロ。
具体的にいつこのような大暴落になるかはわからずとも、
遅かれ早かれこうなることは予測できたのではないでしょうか。
この大暴落で大きな損失を被った方には本当に気の毒に思いますが、一方でこの1.20というラインを絶対視して胡坐をかくようなことをしなければ、防げた損失でもあったと思います。
この当時の相場でトレードをするなら、少なくともその背景を理解し、通常のトレードとは別のリスクを呑んで、利益を狙いに行くべきだったのではと思います。
まとめ
スイスショックのような大暴落を指して、FXは危険だ、ギャンブルだと言われることがあります。
これは半分正解だとは思いますが、その背景などを考えると、少しモヤっとするのは私だけでしょうか。
相場の不自然な歪みはいつか解消されます。
その歪みで利益を狙いに行くことを否定する気はありませんし、むしろそれがトレードの本質かもしれません。
しかし、その歪みの原因も理解せずに利益のことだけを考え、後から文句を言うのはトレーダーの在り方として正しいとは思えません。
私自身は、全てのファンダメンタルズはチャートに織り込まれると考えているので、別にファンダメンタルズの有効性を主張しているわけではありません。
しかし、為替市場というマーケットを相手にしているトレーダーならば、自身のトレードに反映させるかどうかは別として、このような事情にもアンテナを張って理解に努めるのが正しい在り方ではないでしょうか。
勝てば官軍の世界とは言え、リスクに対する備えはしておいて損はないと思います。
今回の話を機に、トレードのリスクに対する備えについて、今一度考えてみてはいかがでしょうか。
それでは今回は以上です。
ありがとうございました。